筆者はごくごく一般的な会社員ですので、多少自由になる資金が多めにあるものの、投資資金が潤沢にあるわけではありません。基本的には株式投資については単元株ずつ投資をしていくスタイル、2単元株以上を保有している銘柄はごく僅かです。またこれまでも記載してきている通り、大儲けを狙えるほどの知識もありませんし、デイトレーダーのように1日の内に売買を繰り返すような時間があるわけでもありません。
しかしながら、こんなサラリーマン投資家でも、比較的低いリスクでキャピタルゲインを狙える方法がいくつか存在します。実際に筆者のキャピタルゲインの源泉であり、少ない資金で、かつ投資について多くの時間を割かずに小遣い稼ぎができるくらいの利益を狙える方法として、以下の二つがあります。
・IPO(新規上場株式)
・立会外分売
筆者としては後述する「立売外分売」を大いにオススメします。
IPO(新規上場株式)
IPOは2018年末、ソフトバンク(9434)がTV CMなど含め、大々的にアピールをしていたので、投資に興味の無い方にも見覚えがあるかもしれません。
IPOとは、これまで非上場の企業が証券取引所に上場し、誰でも株取引ができるようにすることです。新規に上場する際、投資家は抽選で株を買う権利を手に入れます。抽選時の価格を「公募価格」と言いますが、上場して初めて取引をされる価格(初値と言います)は多くの場合、公募価格を上回るため、抽選に当たれば大きな利益を手にすることができます。
例えば2019年に実施されたIPOで、公募価格に比べ初値が上がった銘柄の例として、カオナビ(4435)という企業、こちらは騰落率が+100.5% で、単元株(100株)あたりの利益は 199,000円 です。
またキャッシュレス決済で業績を伸ばした スマレジ(4431)については、騰落率がなんと +135.4% 、単元株あたりの利益は 185,500円 です。
ただし先述のソフトバンク株のように、「公募割れ」と言って売り出し価格よりも下がってしまうケースもあるため、100%利益が出るわけではありません。ソフトバンク株の場合は公募価格1,500円のところ、初値が1,463円にとどまり、さらに下落の一途を辿るという珍しい状況となりました。なお次第に価格は上昇しているものの、未だに公募価格である1,500円を回復しておらず、IPO当選者は含み損を抱えたままとなっています。
抽選である以上、当選しないこともあります。株式投資ですのでリスクはつきものですが、仮に全てのIPOに当選した場合は、公募割れしたものを勘案しても大きな利益が出ることとなりますので、投資家がこぞって抽選申し込みをします。必然的に当選確率は低くなります。ですが、当たれば(多くの場合で)大きな利益を生み出すことも事実ですので、利用している証券会社がIPO取り扱いをする場合は、積極的に申し込みをしていくようにしています。。
IPOについては、証券会社が新規上場企業を代行して抽選を行います。すべての証券会社が扱うわけではなく、企業が委託する証券会社が幹事となります。つまりIPOをたくさん引き受ける証券会社と、そうではない証券会社が存在します。筆者のメイン口座としている楽天証券は、残念ながらIPO取り扱いがそう多くはありませんので、サブ口座としてIPO狙いのため、いくつかの証券会社の口座を作っています。
なお、ここまで書いたものの、2020年6月時点で筆者がIPOに当選したことは、残念ながら一度もありません。
立会外分売
立会外分売とは、特定の株主が所有する株式を証券取引所の取引時間外に売り出す取引のことを言います。分売を実施する前日の終値を基準とし、数%(だいたい3%前後)安い価格で買うことができる仕組みです。さらに株式の購入手数料も無料となり、通常の取引よりも安価に購入することが可能です。
筆者のキャピタルゲインの多くは、この立売外分売で得ています。
立会外分売が実施される目的は大きく3つあります。
・株主の数を増やし、上場市場の変更の条件を満たすため
・株式の流動性を高め、取引数を上げる
・余剰株式を処分し、資金調達する
目的については、分売理由として概要が公表されますが、その真偽は投資家が判断する必要があります。特に資金調達が目的の場合、キャッシュが必要な何らかの理由、例えば業績悪化のためキャッシュ確保が急務、という可能性があり、この場合は手を出すと「分売割れ」と言ってディスカウントされた価格よりもさらに株価が下回り損失(キャピタルロス)を出すこともありますが、業績も安定していて市場自体が急落するような状況出ない場合は、多くの場合で安定して利益を出すことが可能です。
参考までに2019年の分売結果について、「立会外分売研究所」様のWebサイトを引用させていただきます。
【リンク先:立会外分売研究所】
https://xn--6oq04e5xices93o.jp/result/2019/
損失が出ているケースもありますが、多くは利益が出ています。立会外分売については購入者多数の場合は抽選となります(多くの場合は抽選)ので、すべて当選することはありえませんが、仮にすべて購入ができた場合はプラスになります。当選して購入できた場合、翌日の始値で売ればだいたい利益が確保できますので、基本はこの取引となります。IPOと違い大きな利益は見込めませんが、通常の株取引よりは低リスクで利益が見込めることが多いことがご理解いただけると思います。
筆者も立会外分売で株を購入できた場合、翌日の始値で売ることが多いです。始値が分売価格を割り込んだ場合は一旦キープし、プラスに転じた時に売却することにしています。下の表は筆者の2019年立売外分売の主な結果ですが、ヴィスコ・テクノロジーズ(6698)のように分売当日に分売価格を割り込んだ場合も、プラスに転じるまで保有し、損失を出すことを免れたケースが大半です。
実施日 | 銘柄名 | 枚数 上限 | 割引額 割引率 | 前日 分売 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 | 筆者利益 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
12/26 | ピーバンドットコム | 1,250 2 | -50 -3.05% | 1,642 1,592 | 1,650 +3.6% | 1,839 +15.5% | 1,646 +3.4% | 1,743 +9.5% | +20,800 |
5/27 | ヴィスコ・テクノロジーズ | 1,720 5 | -36 -2.49% | 1,446 1,410 | 1,410 +0.0% | 1,412 +0.1% | 1,391 -1.3% | 1,403 -0.5% | +387 |
3/20 | リンクバル | 9,700 10 | -28 -3.00% | 933 905 | 919 +1.5% | 911 +0.7% | 1,083 +19.7% | 1,060 +17.1% | +12,600 |
2020年はコロナショックの影響で立売外分売であっても損失が出る割合が増えており、判断としては迷うところではありますが、それでもディスカウント価格で購入できるチャンスであり、資金力に乏しいサラリーマン投資家は積極的に狙っていくべき取引と言えます。